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大型犬:心臓病とグレインフリーフードの関係

更新日:2019年1月18日


こんにちは。

ホリスティック獣医Saraです。



先日、アメリカで行われたワンちゃんのタウリン欠乏による心臓病(拡張型心筋症)に関する獣医栄養学専門の先生からの話を直接電話で聞ける機会があり、音声が悪かったのですがなんとかいろいろ聞いてきました!

インタビュー形式の特別企画で、電話で参加できる機会を得たのです^^

今回そこで伝えられた内容をお話ししますので、とくに大型犬を飼っている方は是非参考にしてください。



タウリン欠乏による心臓病

最近ワンちゃんのタウリン欠乏による心臓病が増えていることが分かって、前にブログでもご紹介していました。

今もアメリカのカリフォルニア大学デービス校で調査が行われていて、その数は約1,000頭に達しているようです。

犬種、年齢、食べているフード、血液中のタウリン値、サプリメントを加えているかなど詳細に記録されていて、そのなかでも特に大型犬(ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、スタンダード・プードル、ジャーマン・シェパードなど)に多く見られています。

何頭かは非常にタウリンレベルが低く、回復できない状態になっているとのことです。



このような兆候のみられるワンちゃんには共通した特徴が見られるとのこと。



それは・・・



グレインフリーフードを食べていること。



これは何故なのでしょうか?



タンパク質は全て同じではない

グレイン(英語:Grain)というと穀物という意味なので、グレインフリーというのは穀物の入っていないフードのことを指します。


全てではないのですが特徴としては、肉のほかに豆類(グリンピース・ひよこ豆・レンズ豆・大豆など)、さつまいも、ポテトなどが原材料として使われているケースが多く、獣医栄養学専門の先生たちはこういった原材料がタウリン不足に関連しているのではないかと推測しています。




もともとタウリンというのは、ワンちゃんの場合、アミノ酸(メチオニンとシスチン)から作られる特殊な栄養素で、心臓を動かすのに絶対に不可欠な栄養素です。

猫ちゃんにとっても生きるのに必須なのは同じですが、ワンちゃんと違う点は「自分で合成することができない」ということ。

そのため猫ちゃんの場合、タウリンは食べ物から得なければ心臓がうまく働くなって亡くなってしまいます・・・



タウリンというのは、野菜や果物には殆ど含まれていなく、肉(特にハツ・レバーなどの内臓)や魚介類に多く含まれています。

そのため、猫ちゃんは生きていくのに肉(動物由来の栄養素)が絶対に必要なのです。

そういうわけで、猫は「真性の肉食動物」といわれています。



ただし、ワンちゃんでもタウリンを身体の中で合成するためには材料となる他のアミノ酸(メチオニンとシスチン)が必要。

これらのメチオニンとシスチン(システイン)はどういった食品に多く含まれるのかというと、主に肉・卵・魚で、そのほか穀物(小麦・コーンなど)にもある程度含まれています。

豆類にも含まれているのですが、ワンちゃんでは一般的に肉由来のアミノ酸よりもうまく利用できないことが知られていて、なかに含まれる繊維がタウリンの吸収を妨げることが指摘されています(1)



そのため、とくに豆類が多く含まれるようなグレインフリーフードを食べているワンちゃんでタウリン欠乏が多く見られているのではないかと考えられているのです。

(ちなみに、腎臓病対策でタンパク質の量を気にされている飼い主さんが多いのですが、重要なのは量よりも質です)



だから、豆を与えるのはいけないとか、グレインフリーフードが絶対ダメというのではありません。

ただし、大型犬の場合はもともとタウリンをうまく合成できないこが多いことが知られているので、総合栄養食を与えていても(特に豆類を多く含むグレインフリーフードであればなおさら)タウリンなどのサプリメントを補足するか、タウリンの豊富な食材を追加してあげたほうが安心ではないかと感じています。



なぜ大型犬に多いの?

大型犬ではタウリンの合成がうまくできないためです (2)

自分でタウリンも作れないし普段の食事の中に入っている肉・内臓なども少ないような状態だから、タウリンが不足して心臓がうまく働かなくなり、そこから心臓病になってしまうことが知られています。


タンパク質はすべて同じではないということですネ。



ワンちゃんや猫ちゃん(実はフェレットも)は、肉由来のタンパク質を必要としています。

今回の件に関しては、同じフードを食べていても全頭タウリン不足になっているわけではないので、犬種特有の問題と食材や調理・加工の仕方、食材同士の組み合わせなどいろいろな要因が重なっているのだと思います。

でも、ある程度のワンちゃんでもタウリンが必要であるという点を考えると、やはりワンちゃんは完全雑食動物とはいえないのではないかというのが私の意見です(もちろん完全肉食動物とも言えない点はあるのですが)。



ホリスティックケアの観点からは、本当は肉の消費は増やさないほうが地球環境にやさしいのですが、ワンちゃん猫ちゃんに関しては私たち人間よりも肉はやはり必要なのだと思います!

とくに内臓は毎日与えましょう~

それだけでかなり変わりますヨ^^



是非参考にしていただければ幸いです。

それではまた。



<参考文献>

(1) Gross et al. Macronutrients: In Small Animal Clinical Nutrition, 5th Edition. Mark Morris Institute; 2010: 49-105.

(2) Ko KS, et al. Differences in taurine synhesis rate among dogs relate to differences in their maintenance energy requirement. J Nutr 2008; 137: 1171-1175.



旧ブログはこちら)



~動物たちが健康的に,毎日笑顔で過ごせますように~

ーホリスティック獣医Saraでしたー



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